
小油滴の形成は、水と油の間の接触を大幅に増大させ、微生物による油の自然浄化を促進します。
水中油型エマルジョンは、油処理剤を散布しなくても、中程度に荒れている海の状態でも形成されるといわれています。
(3)油の自然浄化サイクル
海上に流出した油は、時間の差はあるものの、自然浄化作用により自然の姿に還元されます。
例えば、原油では、海上に流出すると油膜の拡大とともに空中への蒸発、水中への溶解、油滴及び油粒の形での水中への拡散が始まります。こうして流出後数時間から数日後には、流出油量は1/3〜1/2に減少します。
蒸発したものは、凝縮してエアロゾルを形成する場合が多く、いずれの状態においても光により酸化されます。この酸化過程の途中で、分子状及びエアロゾル状の蒸発分が海面に接触して表面拡散したり、海水に溶解したり、空中で霧や雨滴に吸着又は溶解して海面に再び落下し、海面で拡散・溶解します。この一部は、再び空中へ蒸発します。この過程を繰り返し、揮発成分の分解が進行します。
海水に溶解した成分は、物理的化学的酸化が行われますが、主に炭化水素分解微生物による分解、すなわち生分解を受けます。この生分解は、世界のどこの海域においても行われるといわれています。
我が国の流出油防除に関する基本方針はどのようになっているか。その中で油処理剤の位置づけはどうか。
我が国では、海洋環境保全の見地から、流出油はオイルフェンスで包囲又は誘導し、可能なかぎり油回収船等機械的回収、油吸着材により回収することが基本、であり、回収が困難なものを油処理剤により処理することとされています。
つまり、油層の厚い所は機械的に回収し、油層が薄く拡散している所は機械的回収が困難なことから、油処理剤又は吸着材で回収又は分散処理することとされ
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